
米SEC、ゲーリー・ゲンスラー前委員長の「消えたメッセージ」を巡りコインベースと15万ドルで和解…透明性をめぐる議論が激化
米証券取引委員会(SEC)は、ゲーリー・ゲンスラー前委員長の内部通信記録削除に関連し、コインベースが提起した情報公開法(FOIA)訴訟を終結させるため、15万ドルを支払うことで合意した。
米証券取引委員会(SEC)は、ゲーリー・ゲンスラー前委員長の内部通信記録が「消失」した事件に関連し、コインベースと15万ドル規模の和解に達した。2026年7月22日に最終確定した今回の合意は、透明性を確保するための2年間にわたる法廷闘争を終結させる稀な事例と評価されている。コインベースは、当該のテキストメッセージがイーサリアムおよび広範な暗号資産規制に対する同機関の立場変化を理解する上で重要な資料であると主張してきた。
今回の合意は、連邦記録保存義務と規制執行との間の緊張関係を示す重要なマイルストーンである。
裁判所の現状報告書を通じて公開された今回の合意に基づき、SECはコインベース側に15万ドルの定額手数料を支払うことになる。これは2023年から始まった情報公開法(FOIA)違反訴訟を終結させるための措置である。両者の対立は、SECが裁判所の証拠開示命令にもかかわらず、関連記録を適切に提出できなかったことで深まった。
消失した通信記録のミステリー
紛争の核心は、ゲーリー・ゲンスラー前委員長が使用していたテキストメッセージの行方である。コインベースは、SECが特定のデジタル資産を証券と分類することを決定した過程を確認するためにこの記録を要求したが、SECは当該メッセージが不適切に削除されたか、消失したことを認めた。法曹界ではこれを「証拠隠滅」に近い事態と見ており、規制当局の記録管理の不備に対する批判が相次いでいる。
- 2023年:コインベース、イーサリアムの規制上の地位に関するFOIA(情報自由法)請求を初めて提出。
- 2024年:SECおよびFDICに対し、情報公開拒否を理由に訴訟を提起。
- 2025年:裁判所、SECに対し「すべての文書および通信記録」の提出を命令。
- 2026年7月22日:SEC、記録の紛失を認め、15万ドルの和解金を支払うことを決定。
裁判所は、SECがすべての文書と通信内容を提出せよという指示を繰り返し無視したと指摘した。特に、ゲンスラー前委員長と他の官僚との間で行われたイーサリアム関連の議論の内容が欠落していた点が、決定的な圧力要因となった。裁判所からの強い圧力により、SECは最終的に記録の不存在を認め、和解を選択したものと解釈される。
今回の和解条件は、主にコインベースの弁護士費用の補填と、消失した記録に関する紛争の解決に焦点が当てられている。連邦機関が記録の紛失を理由に民間企業に和解金を支払うことは極めて異例である。以下の表は、今年7月に締結された和解の主な内容をまとめたものである。
コンサルティング会社であるヒストリー・アソシエイツ(History Associates, Inc.)が関与した今回の事件において、コインベースは規制当局が暗号資産(仮想通貨)業界を孤立させようとしたと非難した。消失したテキストメッセージは、単なる管理ミスを超え、規制決定の公平性を疑わせる根拠として活用されている。業界は、今回の事件がSECの信頼性に大きな打撃を与えたと評価している。
今回の和解金15万ドルは、コインベースが訴訟過程で支出した弁護士費用を補填する性格が強い。SECは記録削除の故意性を明示的には認めていないが、結果として資料を提供できなかった責任を金銭的に負うこととなった。これは、政府機関が情報公開義務を怠った場合に発生し得る実質的なコスト負担を示している。
コインベースは2024年、SECだけでなく連邦預金保険公社(FDIC)に対しても同様の訴訟を提起したことがある。当時、コインベースは規制当局が暗号資産企業による銀行サービスへのアクセスを遮断しようとしているという疑惑を提起し、関連資料の公開を求めた。今回のSECとの和解は、こうした広範な透明性を求める闘争の延長線上にある。
FOIA関連の紛争は一応の決着を見たが、コインベースが未登録の取引所を運営していた疑いで進行中のSECによる本案訴訟は継続する。弁護団は、今回確認された「消失した証拠」が本案訴訟の防御戦略にどのような影響を与えるかを綿密に検討している。規制当局の不透明な動きが、今後の裁判過程においてコインベース側に有利な状況として作用する可能性も排除できない。



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