
シンガポールのテマセク、仮想通貨投資の中断を宣言、2031年までにAI比率を15%に拡大するロードマップを発表
シンガポールの政府系ファンドであるテマセクは、FTX事件を受けて仮想通貨投資をポートフォリオから完全に排除し、人工知能(AI)のバリューチェーン全体にわたって積極的な投資を行うことで、2031年までにAIの比率を15%に拡大するという戦略的転換を公式化した。
2026年7月9日、シンガポールの政府系ファンドであるテマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)は、年次報告書を通じて仮想通貨市場との完全な決別を宣言した。4年前のFTX崩壊によって生じた莫大な損失と市場の不確実性を背景に、テマセクは現在、人工知能(AI)を将来の成長の主軸に据え、5,180億シンガポールドル規模のポートフォリオを大幅に再編している。
テマセクは2022年のFTX破産当時、約2億7,500万ドルの投資金を全額減損処理し、大きな打撃を受けた。今回の発表は、単なる投資の中断を超え、仮想通貨に対する「距離を置くこと」を確定させ、AIバリューチェーン全体にわたる支配力を確保しようとする数カ年のロードマップの始まりを意味している。
テマセクは仮想通貨を投資対象から公式に除外し、デジタル資産部門からの撤退を確定させた。2022年から続く市場の変動性と信頼の危機の中で、テマセクは仮想通貨との関係を「永久的な決別」と規定する強硬な姿勢を示しており、今後はすべての資本投入をAIやインフラなど、実質的な価値創出が証明された分野に集中させる方針だ。
「ある種の別れは永遠だ。テマセクは仮想通貨と距離を置き、AIとインフラに倍の力を注いでいる。」
2026年3月31日に終了した会計年度基準で、テマセクの純ポートフォリオ価値(NPV)は前年比490億ドル増加の5,180億シンガポールドルを記録し、過去最高値を更新した。シンガポールドル基準の1年間の株主総利回り(TSR)は10.5%に達し、これは10年および20年の長期収益率の回復力を証明する数値として評価されている。
AIロードマップ:6%から15%への飛躍
テマセクは、現在ポートフォリオの6%を占めるAI関連資産の比率を、2031年までに15%へと大幅に拡大する計画である。テマセクはAIを単なる技術トレンドではなく、長期的な価値創出の核心的な原動力と見ており、そのために半導体からクラウドサービスに至る広範な分野に資本を投入している。
- 次世代半導体の設計および製造企業への出資拡大
- グローバルなクラウドインフラおよびデータセンターサービスプロバイダーへの投資
- 生成AIおよび企業向けAIアプリケーション開発企業の開拓
仮想資産からは手を引く一方で、中国市場への投資はむしろ強化している様子だ。テマセクは過去1年間で中国への露出を77億ドル増やし、計510億ドルの新規投資を実行、310億ドル規模の資産を売却することでポートフォリオのダイナミズムを維持した。
こうした戦略的変化を支えるため、テマセクは内部組織の再編を断行した。グローバル直接投資(GDI)、テマセク・ポートフォリオ企業(TPC)、パートナーシップおよび資産運用(PFA)の3つの部門に構造を簡素化することで、コアポートフォリオへの集中度を高め、成長を加速させる方針だ。
リスク管理と今後の展望
テマセクは組織再編を通じて各部門의専門性を強化し、急変するグローバル経済環境に機敏に対応しようとしている。特にGDI部門は北米や欧州などの先進国市場のテクノロジー企業を攻略し、TPC部門はシンガポール国内の主要企業の価値向上に注력する予定だ。
中東地域の地政学的リスクにより、会計年度の最終月にポートフォリオ価値が約2%下落するなど、対外的な不確実性は依然として存在している。テマセクはこうした変動に対応するため、特定の地域や技術に固執することなく、世界全域にわたる分散投資戦略を堅持している。
結論として、テマセクの2026年の戦略は、仮想通貨という過去の不確実性を払拭し、AIという未来の確実性に賭けることと要約される。2031年まで続くAI比率拡大のロードマップは、シンガポールの政府系ファンドが技術覇権争いの時代にどのようなポジションを取るのかを示す明確なシグナルである。



本コンテンツは情報提供と論評を目的としたものであり、投資助言ではありません。
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